私の精神状態はズタボロであった。夕方、荷物を預けてあるゲストハウスに戻ると日本人女性が一人、ゲストハウスのボスになにやらいろいろと質問している。「どうも」とだけ日本語で挨拶。やっぱり日本人がいるってだけで安心する。さて、もうそろそろ列車の時間だし、一服だけして参りますか。とタバコに火をつけ一口吸った。するとすごい形相でくるりとその日本人女性が私を睨みつけた間約12秒間。その女性は阿修羅のような、はたまた少女が生まれて初めて男性器を見て困惑し驚いているような、憎悪と驚異と失笑のようななんとも形容しがたい表情で私を睨んだ。
「私アレルギーなんです、やめてください!!!!」 本当に本気で死のうと思いました。私はなんて人間なんだと。もうすっかり落ち込んで、私の旅は闇に包まれた。 「私なんて生まれてこなければよかった。」とすっかり落ち込みながら、とぼとぼと駅に向かう。もう私は誰とも関わらない。そう決めた。 バラナシ行きの列車は2時間も遅れているみたいだ。階段に座りながらホームにいるたくさんの人を眺めていた。この時期デリーも朝夜は3度近くまで温度が下がるというのに裸にピンクのタオルを一枚だけ腰に巻いた、骸骨みたいに痩せた男性がお金を求めていた。初めて見たけど、お金を求めた相手は全員インド人にだった。ブルブルと震えて、立っているのがやっとなようだった。どの人もみんな目さえ会わせようとしない。男性がお金をくれと手を近づけるとそれを怪訝な顔ではたく人もいた。私は遠くからその姿をみて、なんだか直感的にこれがカースト制度というものなのかもしれない。となんの根拠もなく思った。また、花売りの子どもや金をくれとやってくる人に対し、私もあのような態度なのだろうか?そう思うととてもやるせない。 やっと列車が到着する。寝台列車の一番下のクラスなので暖房も毛布もない上に私のシート側の窓が割れており、寒い風が入って来る。阿呆の私以外は寝袋だったり、毛布だったりをちゃんと持参しているようだ。 我慢してどうにか寝ようとしていると、少し年をとった女性とその娘がヒンディー語で何やら話している。意味はわからなくとも、私のことについて話してるようだった。「見てあのジャパンニーズ、こんなに寒いってのに毛布も寝袋も持たず、しかもあんな寒そうな服で寝ようとしているわよ。」「あらほんとに馬鹿ねぇ。なにか毛布を分けてあげましょうよ」「でもそしたら私たちが寒くなっちゃうわー」たぶんこんなことを話していたんだと思う。あまりにも不憫だったのか、これを使いなさいと毛布を一枚貸してくれた。私はただサンキューサンキューと何度も御礼を言った。その出来事で私は救われた気がした。
by namazucco
| 2008-03-01 03:08
| journey
|
鯰 エリコ
カテゴリ
全体life news drawing hibi no syashin art/music/movie exhibition journey school about me 以前の記事
2017年 10月2014年 02月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 08月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 04月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 10月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 ライフログ
ninjya
その他のジャンル
| |||||||
ファン申請 |
||