母と祖父母との勝手な大人の事情とやらで、15年も祖父に会えなかった。小学校に入学するまでは、暇があったら新幹線に乗って大阪のじいちゃんばあちゃんによく会いにいったのに、いつのまにか会いにいくのも会いに来てくれるのもなくなって電話すらしなくなってしまった。やっと会えたと思ったらじいちゃんは棺桶の中に入っていて、私はその大人の事情とやらが憎い。じいちゃんはとても恐ろしいじいちゃんだった。「あかんぞ!」とよく関西弁で怒られた。電話で話をする時は必ず最初に「今日は阪神勝ったなー」「阪神負けたなー。しょうもない試合しやがって。」と阪神の勝ち負けによってその日の機嫌が左右されたのだった。
私は数少ないじいちゃんとの思い出を噛み締めながらお別れをする。しかし他にもいろいろな大人の事情があり、悲しいというよりやるせない。私が結婚なんぞしたくないと思うのはこういういろんな大人の事情に敏感になってきたからだろうか。