私の2010年は退屈だった。孤独であった。祖末であった。一年を振り返っても何もなかった。繰り返し仕事をしていた。ただ救いに思えたのは個展を開けたことだと思う。おもしろいこと?メメクラゲに刺されることはなかったけど、そういえば知らない間に男の手のひらで踊っていたこともあったし、家の前まで変な女に後をつけられて気持ち悪かったなぁなんて思ったけどそれもたいしておもしろくはなかった。まぁ生きている中でそんな空虚な一年があってもいいのかもしれないななんて、実家の柱時計の振り子を眺めながら本当にざっくりと一年を振り返った。
私の家に大きな時計が3つあって、一つは家の真ん中にある柱時計で、残りの2つはもうずっと昔から針が進む事はなくただ飾ってあるだけの時計なのでよくわからない。 柱時計はねじ式で、3時になったらゴーンゴーンゴーンと3回鐘が鳴り、12時になったらゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーン12回鐘が鳴る少々うるさい時計だった。古い時計なので、ねじを回すことを忘れた時はもちろんだが、すぐに遅れたり、動かなくなったり、鐘がならなくなったりした。私たち家族はたびたびその柱時計の気まぐれのせいで寝過ごしてしまったり、電車に乗り遅れてしまったり、おもいがけずに夜更かしをしたりとしたが、時計は取り替えられることもなく私が生まれる前から今もずっと家の中にある。今思うと私たち家族はこの柱時計を中心に成り立っていたのではないかと思う。 帰郷中のある晩、どちらが提案したのかは忘れてしまったが、弟のショウタ君と一緒の布団で寝る事にした。森の夜はどこまであるかわからない穴のように暗く、まるで世界が終わってしまったかのように静かである。彼の足やら手やらを足探りしながらショウタ君が横になってる布団に私はそっとすべりこみ、いきなり布団の中で放屁。足で布団をパタパタとしてショウタ君にガスをくらわせ、彼が逃げないように強く手を握った。彼はむせた後、実によいリアクションをとってくれた。そんな彼がたまらなく愛しくもっといじめてやりたいと思い“キスしてやろう”と真っ暗闇めくらの中唇で彼の顔を探った所、ひんやりと冷たい彼の耳がちょうど唇に当たったのでこれ幸いと思いてショウタ君の耳を噛んで「ショウタスキダヨ。オヤスミ」と言った。私たちはセックスすらしないけど、こんな兄弟愛があったっていいじゃないかと思う。1階から柱時計が鳴るのが聞こえる。ボーンボーンボーンボーン
by namazucco
| 2011-01-05 01:02
| life
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鯰 エリコ
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